「どんなときもWiFi」に通信障害が発生中です。障害に強いはずのクラウドWiFiがなぜこんなことに?ソフトバンクが関係しているとも言われる大規模障害の原因とクラウドWiFiの弱点。そして今選ぶべきモバイルWiFiについて真剣に考えます。
- テレワークで使える自分専用のWiFiがほしい
- どんなときもWiFiの通信障害が気になる
- クラウドSIMが大丈夫なのか心配
どんなときもWiFiの大規模通信障害
2020年2月下旬から「どんなときもWiFの通信速度が遅い」という報告が相継ぎました。
通信速度が0.1Mbpsにも満たないという深刻なもので、2月の21日から29日まで、一週間以上通信障害が続きました。
この障害に対し、どんなときもWiFiでは
- 契約解除希望者の違約金免除
- 継続利用者に次月の月額料金1ヶ月分減額
という補填を行いました。
この障害は、3月になり一時復旧したかにみえたのも束の間、3月中旬に再度発生。
この通信障害は復旧の目処が立たず、4月1日以降も障害は継続。4月3日になり、ようやく新規受付の停止を決定しました。
「どんなときもWiFi」はテレビCMを打って知名度も上がってきたサービスですので、その影響は大きなものになってしまいました。
いったいなせ、このようなことになってしまったのでしょうか?
障害の原因は新型コロナ?ソフトバンク?
今回の障害は、新型コロナウイルスの影響が大きいとされていますが、はたしてどうなのでしょうか。
通信障害の原因として「どんなときもWiFi」は次のようなコメントを発表しています。
通信障害の原因について、弊社が回線提供を受けているパートナー会社より下記のような回答がございました。
- 一部のキャリアからのSIMカードの提供がストップしており、SIMの増強に遅延が生じている。
- 新型コロナウィルスの混乱による影響で、SIMカードを動かす為の設備の製造および発送が停止、遅延している。
このコメント、かなり気になる点があるわね
原因は他社や環境のせいなのか?
「どんなときもWiFi」のコメントには、ふたつの原因が記載されています。
- 一部キャリアからのSIMカード提供ストップ
- 新型コロナの影響による通信設備の製造・発送遅れ
コロナウイルスの影響による外出制限、テレワークといった社会環境の変化によって、モバイルWiFiへの需要は急速に高まりました。
急激なトラフィックの上昇に対応するため、「一部のキャリア(今回の場合はソフトバンク)」が、提携する外部サービスに対するSIMの提供を制限している。
そしてもうひとつ、急激なアクセス増加に対応するために必要な設備の増強が、新型コロナウイルスの影響による工場の停止が原因で、できなくなってしまっている。
このふたつの「不測の事態」に対応しきれなかったのが、今回の障害が長期化してしまった理由です。
しかしそれより気になるのが、その前にある「弊社が回線提供を受けているパートナー会社より下記のような回答がございました」というコメントです。
これだけの事態を発生させておきながら、原因を環境や他社のせいにして、さらにパートナー会社から受けた報告をそのまま掲載している。
この「当事者意識の欠落」こそが、通信障害を拡大、長期化させてしまった本当の原因ではないでしょうか?
事態を軽視しすぎた企業の責任
新型コロナウイルスによる設備やSIMカードの供給不足は「どんなときもWiFi」だけでなく、多くのWiFiサービス会社に影響を及ぼしたはずです。
事実、FUJI WiFiやNEXTmobileといったWiFiサービスが、相次いで無制限プランを中心としたサービスの新規受付を停止しています。
キャリアからSIMカードが供給されなければ、サービス提供することはできませんので、当然と言えば当然です。
しかし「どんなときもWiFi」は、2月の通信障害時以降も、新規受付を継続しています。
- テレビCMの継続
- Web広告・アフィリエイト出稿の継続
- 新規受付の継続
通信障害については、ネットで話題になっていたとしてもその範囲は限定的。
多くの人が通信障害について何も知らず、CMや広告を見て申し込みを続けます。
それがまた新たなトラフィックを生み、回線を圧迫していきます。
ユーザーの皆さんのお怒りはごもっともです。
2月の障害時に行った対策はおそらく「対処療法」。
その場はしのげたとしても、すぐに瓦解するのは目に見えていたはずです。
「ニーズの高まり」と「供給力の低下」が同時に起こっているということに気づいていれば、
おそらく最初にやるべきことは「新規受付の停止」。
新型コロナウイルスによってもたらされた「特需」に目が眩んで、目先の利益を追ってしまったのだとしたら、
あまりにお粗末な対応と言わざるをえませんね。
通信インフラを提供する企業としての責任は重いわね
以前から不安だった「どんなときもWiFi」
当サイトもアフィリエイトをやっていますので、「どんなときもWiFi」をご案内することも可能でした。
しかし以前から口コミを見ていて気になることがあって、積極的に推してはこなかったのですね。
「どんなときも WiFi」が採用するのは「クラウドSIM」といわれる新しい技術です。
通常のスマホやWiFiルーターに差すような「物理的なSIMカード」が不要で、クラウドサーバ上で常に最適なネットワークが選択されるというしくみです。
従来のwifiルーターの場合、端末に挿しているSIMカードの対応エリアのみが利用可能範囲となるため、そのSIMカードが圏外の地域では利用できません。クラウドwifiであれば端末のご利用場所における電波の受信強度・通信速度の安定性などあらゆる条件を踏まえた上でクラウドサーバーに用意している複数のSIMカード(ソフトバンク・ドコモ・au)の中から最適なものを自動割当することが可能。
※ソフトバンク/ドコモ/auのネットワーク・LTE回線に対応。ご利用いただくエリアや建物の環境によって最適な通信キャリアの回線を自動で掴みます。(お客様でのキャリア選択不可)
ただしエリア内であっても電波の届きにくい場所や本製品の対応帯域外のご地域など一部ご利用いただけない場合が御座いますので予めご了承ください。
※どんなときもWiFi公式webサイトより引用
しかし実際には、ほとんどの場合でソフトバンク回線が利用され、そこをつかみ損ねるとドコモ網の格安SIMである楽天モバイルのMVNO回線につながる(本当にごくマレにauにつながる)という、ソフトバンク1社に大きく依存しているサービスだったということがわかります。
今回の通信障害が「ソフトバンク1社の SIM供給が停止しただけ」で起こってしまったというのは、クラウドWiFiの強みであったはずの「3キャリア接続」が、ユーザーの期待とは大きく異なっていたことになります。
これは技術的な部分と契約上の問題の両面があると考えられますが、こういった回線品質に関する大事な部分を公開してこなかったことに
ちょっと信用ならないわね
と感じてしまっていたのです。
サービス自体は新技術で魅力あるものでも、回線ごとの品質に差があるのでは、安定したサービスが得られないのではないか。
それが今まで当サイトで「どんなときもWiFi」をはじめとするクラウドWiFiをお勧めしてこなかった理由なのですが、今回こういった形でその不安が的中してしまったわけです。
今回の事故をきっかけに、一層のサービス品質向上に努めてほしいと思います。
コロナ影響下の今、選ぶべきモバイルWiFiとは?
新型コロナウイルスはモバイルWiFiにも大きな影響を与えました。
今回の「どんなときもWiFi」の通信障害は、新しいWiFiのカタチとして注目されていた「クラウドSIM」の将来に、水を差すことになってしまいました。
いまのところ、他のクラウドSIMサービスに通信障害は起こっていませんが(※)、同じ仕組みを使っている以上「安全」とは言えない状況です。
また、トラブル発生後もテレビCMを流し続け、新規顧客獲得を続けた「どんなときもWiFi」の姿勢は、ユーザー軽視ととられても仕方のないものです。
コロナの影響が今後も続きそうな今、本当に選ぶべきWiFiサービスとはなんなのか?
この続きは別の記事でご紹介させていただきます。
※当記事執筆時は、「どんなときもWiFi」ほどの大規模通信障害事故は発生していませんでしたが、その後他社サービスにおいても大小さまざまなトラブルが相次ぎました。クラウドSIMに関する他の記事もご参照ください。