ドコモが発表した新料金プランahamo(アハモ)。「安い」「スゴイ」と前評判も高く、「楽天潰し」「格安SIM潰し」、そして中には「販売店潰し」「ahamo一人勝ち」という極端な(?)評価をするメディアも現れている、話題のプランです。
しかしその一方で「意味ない」「格安SIMと一緒」という真逆の評価をする方もいるようで、実際のところどうなんだろう?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では巷のみなさんの反応からahamoを考察。本当に「一人勝ち」するほどすごいプランなのかを探ります。
この記事を読めば、ahamoというプランに込めたドコモの真の狙いがわかるはずです。
- ahamoが気になっている
- ahamoへの乗り換えを検討している
- ahamoって何がスゴイのかわからない
- ahamoって凄そうだけど何か裏がないか心配
こんな方は是非お読みくださいね
ahamoって何?
ahamo(アハモ)とはNTTドコモが2020年12月に発表した新しい「料金プラン」。
菅総理肝入りの「携帯料金値下げ」要請に対するドコモの回答と言っていい、今までのドコモプランにはない、なかなか大胆な内容となっています。
- 月額2,970円の1プラン
- データ容量20GB/容量超過後1Mbps
- 5分以内の国内通話無料
- 5G対応(追加料金なし)
- 海外82ヶ国で利用可能(追加料金なし)
- 新規事務手数料無料
5G対応、海外でも使えて5分間の無料通話がついて20GBで2,970円。家族割やネット割といった割引なしのシンプル価格なので、おひとり様でも入りやすいプランです。
すごい!これは思いきった価格ですね!
その一方、この価格を実現するために、サービス面ではかなり大胆な「割り切り」を見せているのも大きな特長です。
- オンライン契約のみ
- サポートもチャットやアプリで対応
ファミリー割引対象外- キャリアメール利用不可
ドコモからの乗り換えは当面MNP扱い(手数料無料)- ドコモからも簡易な手続き(プラン変更)で移行可能に
契約やサポート、端末の修理受付も専用アプリやWEB、チャットでのオンライン対応。ドコモショップや家電量販店では取り扱わない模様。
そしてキャリアメールが使えない、ドコモのファミリー割引適用外など、ドコモユーザーにとっては少し気になる部分もあるようです。
ドコモの新プランという位置付けですが、システムが整う2021年5月ごろまでは、ドコモからの乗り換えも「MNP扱い」となる点は注意が必要。
12/18の発表で、3月のサービス開始時からドコモからの乗り換えも簡易な手続き(プラン変更)で可能となりました。
1/14にドコモよりahamo提供条件の追加発表があり、ahamoがドコモの「ファミリー割引」に対応することになりました。
新料金プラン「ahamo(アハモ)」の提供条件について(NTTドコモ)
発表会にてドコモの井伊基之社長が「デジタルネイティブの若い世代に向けたプラン」と言っていたように、ahamoには、自分自身でネット契約ができるくらいのリテラシー(理解・活用力)が求められるようです。
なにげに漂うサブキャリア感
ahamoの評判は?
それではこのahamo、ネットでの評判はどうでしょうか?
肯定派のみなさまの意見
「20GB/2,970円」「海外で使える」「オンライン手続き」といった、ahamoの特長をちゃんと理解した上で「いい」と評価してらっしゃるようです。
UQや格安SIMからの乗り換えを検討しているという方も目立ちます。もともとドコモから乗り換えた方が「出戻り」を検討しているのかもしれません。
格安SIMと比べても魅力的に映るプランってことですね
反対派のみなさまの意見
絶賛する声が多い一方、「ネット契約のみ」「ファミリー割引なし」「キャリアメール非対応」といった点が気になるという方も結構いらっしゃるようです。
価格が安くプランがシンプルな分、メリットを感じづらい人がいるのも事実なようです。
意外と「人を選ぶ」プランなのかもしれないわね
ahamoの評価が大きく分かれる理由
「安い」「シンプルでいい」と手放しで歓迎する声が多い一方、「意味がない」「メリットない」という真逆な感想を述べる方もかなりいらっしゃる「amaho」。
実はこの「大きく評価が二つに分かれた」理由を考えてみると、この「ahamo」というプランの巧妙さ、したたかさが見え隠れしてくるのです。
高い評価は他社ユーザーから
「安い」「シンプルでいい」とahamoを高く評価しているのは、その多くが、現在他社のスマホを利用しているユーザーです。
特に、直接ライバルとなるau、ソフトバンクだけでなく、ワイモバイル、UQモバイル、楽天モバイル、そしてahamoよりも安い価格帯であるはずの格安SIMをお使いの方に中にも「いいね」と言っているユーザーは多く、ahamoのスペックは、他社キャリア、サブキャリアや格安SIMユーザー、かなりの方にとって魅力的に映っていることがわかります。
ただ安いプランというだけでなく、それが「ドコモのプラン」だということが、他社ユーザーに評価されているのではないでしょうか。
安くて信頼性が高いなら、みんな乗り換えたくなるわよね
低い評価はドコモユーザーから
その一方、「意味がない」「メリットない」とahamoを低く評価しているのは主にドコモユーザーのようです。
ahamoはドコモの「新プラン」という位置付けですが、「ファリミー割引なし」「キャリアメール利用不可」、そしてサービス開始から当面の間は「MNP扱い」。
これではドコモユーザー、特に家族揃って長期契約しているような方にとっては、今まで長く契約してきたメリットがなく、「他社に乗り換えるのと同じ」「格安SIMと一緒」という評価につながってしまっているのかもしれません。
この、発表当初の不評に対しドコモはすぐに反応。「ファミリー割引」「みんなドコモ割」の人数カウント対象、ドコモ契約期間の継続、乗り換え時の手続き緩和と、かなりの改善を行っていますが、「キャリアメール」については利用不可のまま。この点がネックになる方がまだまだ多いということなのでしょう。
ドコモユーザーさんにとっては「格安SIMと一緒」なのかぁ
立場が変われば評価も変わるものなのね
「分かれる評価」に隠されたドコモの戦略
立場の違いで大きく分かれるahomoの評価。
実はこの「分かれる評価」という点から、ドコモが仕掛けた巧妙な戦略が見え隠れしているのです。
ahamoを高評価しているのは他社ユーザー。ここには、過去ドコモから他社や格安SIMに移って行ったユーザーが多く含まれます。
対して低評価をしているのは既存ユーザー。裏を返せば「ドコモのユーザーは意外とahamoに乗り換えないかも」という仮説が成り立ちます。
他社ユーザーを魅了する戦略的な料金設定で、他社から顧客を獲得。その一方で、既存ユーザーにとっては必ずしも「いい」とは言い切れないプラン内容で、ドコモプランからの流出は最小限に抑えることが可能。
そしてahamoに不満を持つ既存ユーザーに対しては、今後発表されるドコモ本体の価格改定でしっかりフォロー。
既存プランとしっかり棲み分けることで、新規顧客の獲得と既存顧客の抱え込みが両立できるわけです。
ahamoは、これまで他社に顧客を奪われ続けてきたドコモが反転攻勢に出るために練られた、非常に戦略性の高いプランと言っていいのではないでしょうか。
ドコモがahamoを「オンライン限定」とした理由は、「店舗経費を削減して価格を下げるため」だけではないのです。
政府要請で安いプランを出しただけじゃないってことか
なるほど。なかなか策士じゃのうドコモ殿
ahamoは一人勝ちできるのか?
過去に他社へ流出した顧客を呼び戻し、今も残る既存ユーザーは今後発表となるドコモ本体プランの改定でフォロー。
「ahamo一人勝ち」というよりも「ドコモ一人勝ち」、この評価はあながち間違いではないように思えます。
「現時点では」。
確かにahamoは巧みに戦略化されたプランではありますが、当然他社も対抗策を打ち出してきています。
「povo」「LINEMO」は個性で勝負
まずは直接ライバルとなるのがauの「povo(ポヴォ)」とソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」。ahamoとともにリリースされた各社の「オンライン専用新プラン」です。
これらのサービスはahamoをかなり意識したプラン設計がなされていて、ahamoにはない個性で勝負してきています。
povoは基本プランをシンプルにして必要な機能を「トッピング」するという新しいしくみを取り入れました。特に「24時間無制限:220円」という今までにないプランもあり、評判も良いようです。
LINEMOは、LINEサービスとの連携が期待されます。サービス開始時点では、LINEカウントフリーやLINEスタンプが無料になるといった部分的な特典に限られていますが、今後つぎつぎと特典が加わってくると、より魅力を増してくるでしょう。
サブキャリアは「店舗対応」で勝負
そしてauにはUQモバイル、ソフトバンクにはワイモバイルというキャリア直系のサブブランドがあります。
これらサブブランドには、ahamoにはない「店舗対応」という大きな武器があります。
もともとワイモバイルは「格安SIMの姿をしたソフトバンク」。特に最近はソフトバンクショップとの併売店も増え、以前にも増してサポート体制が充実してきています。
そしてUQモバイルもauに統合され、ワイモバイルの後を追うように実店舗展開を進めてきています。
ahamo登場以降、これら他社サブブランドも料金プランを全面改訂。「20GBプラン1本」のahamoの隙間を埋める、3GB〜25GBの複数の料金プランで対抗しています。
店舗対応と、ahamoよりも小容量からカバーする柔軟性の高い料金プランというふたつの大きな武器は、ahamoと比較検討する際の有力な候補となっています。
ワイモバイルとUQモバイルの新料金プランについては別の記事でもご紹介しています。
このガチな感じ、悪くないわね
楽天モバイルはネットワーク品質が鍵
ahamoが料金プランを練る際にベンチマークとしたのはおそらく楽天モバイル。「国内通話無料」「データ容量無制限」「5G対応」と、ahamoをも超えるプラン内容を誇ります。
amaho対抗策としては「Rakuten UN-LIMIT VI」をバージョンアップ。月1GBまでなら0円からスタートとなる段階制プランに変身しました。
それでもahamoの方が評価が高いのは、楽天モバイルの通信可能エリアがまだまだ狭いという事実がそうさせているのでしょう。
プランとしては破壊的な魅力を持つだけに、通信環境の改善に大きく期待したいところです。
楽天モバイルにはがんばってほしいです
大手キャリアはシンプル化
ahamoの登場はインパクト十分。au、ソフトバンクにとっては大事な顧客を奪われかねない一大事です。
そこで両社はahamo対抗の新料金プランとドコモにはないサブキャリアでのahamo対策を講じたわけですが、それと同時に本体プランの価格改定も進めました。
改訂の方向性としては「シンプル化」。本体価格を下げて家族割や新規割といった割引を適用せずとも加入しやすい価格設定にしました。
改定は大容量プランが中心になりますが、ソフトバンクについては小容量プラン「ミニフィットプラン+」も発表。従来の「いびつ」だった料金体系を改善しています。
ahamoへの乗り換えを検討中でなくても、大手キャリアユーザーの方は、今一度料金プランの見直しをしてもいいでしょう。
若干「様子見」な気配も濃厚だけどね
格安SIMは「U20GB」に勝機を
そしてahamoのプランは格安SIMにも大きな影響を与えています。
格安SIMの顧客層は月10GB以下のライトユーザーがメイン。本来ならば20GBのプランにはあまり興味を示さないはずですが、「ドコモ純正回線で月2,970円」のインパクトは抜群だったようです。
もともとコスト意識が高くオンライン契約にも抵抗感の低い格安SIMユーザーにとっても、ahamoは非常に魅力的なプランに映っている様子。
「20GB/2,970円」というahamoの価格を基準に、格安SIMも料金プランの見直しが進んでいます。
しかしもともと大手キャリアに比べ企業規模も小さく利益率の低い格安SIMにとって、今回の大手キャリアの値下げプランへの対応は、企業としての体力を奪うだけのものになりかねません。
携帯料金が下がるのはユーザーとして嬉しい限りですが、今回の動きは格安SIMにとってはかなり厳しいものかもしれませんね。
利益率の低い格安SIMには厳しい戦いなのね
格安SIMのみなさんにもがんばってほしい
ahamoは通信費の新しい基準
ドコモの新プラン「ahamo」について考察してきました。
「ドコモの新プラン」という割には既存ドコモユーザーには乗り換えにくい、限りなく「サブキャリア」に近い内容となっているのは気になるところですが、業界他社に与えたインパクトは相当なもの。
日本のスマホ通信費は、ここしばらくはahamoを基準として見直されることになりそうです。
ahamoのサービス開始となる2021年春、これから通信各社の価格競争がスタートします。
今度こそ、ユーザーの目から見ても分かりやすい、乗り換えやすい携帯市場となっていくことを期待しましょう。
そして最後に総務省さま。
通信費の値下げは一定の効果が出てきたようですので、分離プラン導入時に設定された「端末値引きの上限」を、そろそろ見直されてもいいのではないでしょうか?
お願いしやす
この記事が皆さんのスマホ選びの参考になれば幸いです。